なぜシェアリング電気スクーターのSpinはSTOをしたのか?〜STOの手順と利点〜

インターン生のあさの @nononoasa(https://twitter.com/nononoasa) です。本記事はセキュリティトークンシリーズ第二弾です。 第一弾は以下をご覧ください。

developers.yenom.tech

STOとは?

STOとは、セキュリティトークンオファリングと呼ばれ、株式をトークン化したセキュリティトークンを発行し、資金調達することを指しています。ICO(イニシャルコインオファリング)もトークンを発行して資金調達を行いますが、ICOで発行されるトークンはユーティリティトークンと呼ばれ、セキュリティトークンは利用しません。セキュリティトークンとユーティリティトークンの違いは別の記事で詳細に書く予定です。

STOはどのように行われるのか(Polymathの場合)

Polymathというセキュリティトークン発行プラットフォームを利用した場合、どのような手順でSTOが行われるのか確認します。 Polymathとは、ST-20と呼ばれる独自のトークン規格を提供することで、事業体がセキュリティトークンを発行する補助をします。セキュリティトークンが流通する取引所や、取引所に参加する投資家の選定など、STOを取り巻く様々なプレイヤーに対してもサービスを提供しています。

STOに関わるプレイヤー

STOの手順を実際に見ていく前に、まずはどのような人がSTOに参加することができるか確認します。以下のURLに詳しいです。

coinsavage.com

Issuer:資金調達を行う人

Legal delegates/developpers:法務アドバイザリーを行い、スマートコント楽をカスタムする人

KYC Provider:KYC(Know your costomer/顧客情報確認)を行う人

Buyer:STOで出資を行う機関投資家

Secondary buyer:機関投資家からセキュリティトークンを買う別の機関投資家

STOまでの手順

次にSTOまでの手順を発行企業の視点から確認することで、各事業体がどのようにSTOに関わるかを見ていきます。 STOは他の資金調達手法と比較して手続きが簡単です。ここでは、Polymathというセキュリティトークン発行プラットフォームの例を参考にSTOまでの手順を確認していきます。 セキュティトークン発行のプラットフォームであるPolymathは以下の手順でセキュリティトークンを発行できるとしています。

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以上がPolymath上でのSTOの手続きの手順です。いかにトークンの手順が簡略か、そして、トークン設計に柔軟性を持たせられるかを確認できるかと思います。

STOのメリット

先ほど言及した簡略性・柔軟性に加えて、そもそも資金調達手段としてのSTOには他の資金調達方法と比較して、どのようなメリットがあるのでしょうか。

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STOで資金調達をするべき企業は何か

以上の特徴を踏まえ、STOに適している企業について考察していきます。

ユーティリティトークンかセキュリティトークンか

medium.com

この記事を参考に、以下の2点の軸から、ユーティリティトークン、セキュリティトークンどちらが資金調達として適しているかがわかります。

  • なぜそのトークンに価値があるのか:利便性か投資か
  • 何/誰が価値を生み出しているか:ネットワークか特定の事業体か

トークンの価値の源泉が投資にあり、価値を生み出す主体が事業体である場合、企業の資金調達に近いということになるため、その事業はセキュリティトークンを発行するべきであると言えます。例えば、トークンにより資金調達をしたベンチャーキャピタル(security blozkchain)などはSTOが資金調達手法として適していると思われます。

普通の株式かセキュリティトークンか

では、普通の株式の資金調達ではなく、STOで資金調達をするべき企業はどのような企業があるでしょうか

  • 新たなサービスを立ち上げるに当たって投資家(VCなど)による経営サポートを必要としていない
  • 複雑な資本政策を立ち上げ期から必要としている。 種類株式(議決権と財産権が分離した株式等)の発行には、会社の規則を定めている、定款変更の特別決議が必要です。この「定款変更の特別決議」は新たに会議等をもうけて会社の規則を作り直すことをさしており、手続きが煩雑になる場合があります。しかし、セキュリティトークンを利用する場合、プログラミングで規定されたスマートコントラクトによって柔軟に種類株式等を発行する事ができます
  • VCからの資金調達が得られなかったが、事業プロジェクトがすぐれている

STOで資金調達をした企業〜Spin〜

それでは実際にSTOで資金調達をした企業を見ることで、STOの利点を確認していきます。

ここで紹介するSpinは、カリフォルニアに位置している、電気スクーターのシェアリング事業を営む企業です。

彼らは今まで800万ドル資金調達をしており、新たにSTOによって、約140億円の資金調達を行う予定です。2016年の東証マザーズの上場企業の平均時価総額が66.3億円である事から考えても、かなり大規模な資金調達という事ができます。

このSTOで出資したセキュリティトークンの所有者は、シェアリング事業によって得られるであろう収益の獲得権を持っています。また、トークンはSpinで利用される電気スクーターを担保にしています。これらの性質から、Spinが発行したトークンは株式と似た性質を持ったセキュリティトークンであるということができます。

なぜSpinはSTOで資金調達したのか

この事業は、Spinという事業体が中心に運営していくサービスであり、発行されたトークンを所有する事でサービスへのアクセス権が手に入るわけではありません。また、トークンは投資による収益を期待して購入されると考えられます。これはSTOに適している資金調達の条件を満たしています。

実際に、Spiは上項目の「STOで資金調達をするべき企業(普通株式orセキュリティトークン)」の3に該当します。

SpinがSTOによって資金調達をした理由の一つに主要なVCから資金調達をすることが難しかったことが考えられます。Spinと同様に電気スクーターシェアリング事業を行っている、BirdとLimeがすでに主要なVCから資金調達を成功させていました。Birdはセコイアキャピタルから3億ドル、LimeはGV(以前のgoogle ventures)から2.5億ドルの資金調達を成功させています。このように、有名なVCから資金調達を受けている企業は、事業運営面で競争優位を持つ可能性があるため、他のVCからの資金調達の難易度が非常に高かったと想定されます。

二つ目は、電気スクーターはただのwebサービスとは異なり、事業体が固形資産(電気スクーター)を所有するサービスであり、電気スクーターがトークンの担保になりうるからです。つまり、ICOとは異なり、トークンに現実の価値の紐付けがあるため、トークンが証券の性質を持っていたからです。

まとめ

今回は、STOの手順を確認した上でSTOに適している企業についてまとめていきました。発行が簡単であり、ICOのように提供されるサービスにトークンの使用が不可欠ではありません。今回示した条件を満たす企業は、STOをするメリットが確かに存在しているため、今後STOははるかに増えると期待されますね。

参照

When can I start offering my security token? Polymath might have the answer.

Create Your Own Security Token Offering (STO) with Polymath

How Security Tokens Will Transform Traditional Finance

8 Important Things To Know About Security Tokens / Token Regulation

2019年にユーティリティトークンよりもセキュリティトークンの方が発行される8つの理由とは? | DAPPS TOKYO

Electric scooter startup Spin is finalizing a $125 million security token offering – TechCrunch

http://blogdekaikei.com/vb/003#IPO-2