セキュリティトークン・プラットフォームのTrustToken, NeuFund, Token DPAについて~主要なセキュリティトークンのトークン設計をすべて解説していく②~

こんにちは。インターン生のあさの @nononoasaです。

前回に引き続き、セキュリティトークンのトークン設計について解説していきます。前回の記事を読んでいない方は、このブログをぜひご覧ください。

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また、以下のスプレッドシートにトークン設計をまとめてありますのでご覧ください。

セキュリティトークントークン規格 - Google スプレッドシート

本日はこの記事で触れた投資機会平等型のプラットフォーム、TrustToken、NeuFund、Token DPAについて重要だと思われる点(スプレッドシートのピンク、黄色の部分)を中心に解説していきます。

投資機会平等型は、従来の投資の地理的・法律的な問題点を解消しようとしていくものです。大きく分けて、3つのプラットフォームは以下のアプローチをとっています。

  • TrustToken

個人資産をトークン化していき、資産の所有権の移転や管理を世界中で行えるようにしていきます。そして、実物資産の管理をプラットフォーム上で依頼できるようにします。

  • NeuFund

スタートアップが資金調達(STO)をするプラットフォームですが、NEUトークンと呼ばれるユーティリティトークンを使用することで、投資を活発にするような設計がなされています。

  • TokenDPA

債権をトークン化して、「誰でも」ベンチャー等の資金調達に参加できるようにしています。規制との関わりで工夫がなされているプラットフォームです。

TrustToken

概要

TrustTokenのプラットフォームは、投資機会平等型です。つまり、資産をトークン化することによって、世界中の資産に誰でも簡単に投資できる状態を目指します。

特徴

このトークンの特徴は、株式・債権などの有価証券だけではなく、美術品・本・映画など個人資産等もトークン化することを見込んで、資産管理の方法も紹介しているところです

主要プラットフォームで個人資産を管理できる方法を具体的に示しているのは、TrustTokenのみとなります。

個人資産は、株式等の有価証券とは異なり、実物として資産が存在する場合が多いです。その際、実物の資産を管理する人や、その資産を処分する人が不可欠になってきます。

資産の管理の委任や、トークンの管理の方法については以下に説明していきます。

プラットフォーム活用の流れ

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  • 受託者の選択について

まずは、資産を所有しており、それをトークン化したいと考えている「委任者」が、プラットフォーム上で、資産を法律的に管理してくれる「受託者」を探します。

  • 受託者選択後の行動について

受託者は、法律・金融機関と交渉をしながら下のSmartTrustやTrustProtocolを完成させ資産の管理を実施します。これらを満たして、セキュリティトークンが完成するとユーザーはトークンで資産の所有権を証明できます。

委任者は、受託者がSmartTrustの指示通りに行動をしたり、法律・金融機関との交渉を行ったりした時に、ユーティリティトークンであるTrustTokenを、受託者に支払いします。

SmartTrustの条項により行動を制約し、TrustTokenで報酬を与えることで、このプラットフォームが活発化すると考えられています。

トークン要素

用語の確認

被信託者=委任者から資産を預かり、それを管理・処分する人

TrustTokenは以下の要素から機能しています。

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NeuFund

次に、ベンチャー投資への投資機会平等を目指しているNeuFundを解説します。

概要

NeuFundの発行するセキュリティトークンも同様に投資機会平等型です。

このプラットフォームは、ベンチャー企業の成功を信じる投資家が、直接その企業に投資できるような世界を実現することで、投資の地理的・法律的な、不必要な制約を取り除くことを目指しています。

特長

このプラットフォームの特長を記していきます。このトークンの特長は、資金調達の手続きをユーティリティトークンを用いた非中央集権的なサービスとして実施しようと試みていることです。

以下の図を参考に説明していきます。

まずは、NeuFundのエコシステムがどのように成り立っているかを確認します。

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https://neufund.org/cms_resources/whitepaper.pdfより引用

上の図は、投資家がどのように資金を投入し、スタートアップなどの資金調達企業に投資をするかを示しています。

Stage 1:投資家がETH/EUR-Tをプラットフォームのアカウントに入金

まず、投資家はプラットフォームに設定されたアカウントにETH/EUR-Tを入金します。この時点では、アカウントに投入した資金の使い道は確定していません。

資金の投入はプラットフォームを活発化する良い行動をしているとみなされ、NEUトークンがプラットフォームから支給されます。

Stage 2:プラットフォーム内のアカウントから投資

次にアカウント内のETH/EUR-Tの出資先を投資家が決定します。

出資したい企業が見つからず18ヶ月が経過した場合、アカウントのロックが解除され投資家はアカウント内の資金を引き出すことができます。実際に投資をする際にKYCが実施されます。

投資を行うためのトークンについて

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https://neufund.org/cms_resources/whitepaper.pdfより引用

EUR-Tはプラットフォームで使用されるステーブルコインです。

ただ、EUR-Tは投資以外の目的に利用できません(個人間の送金などには利用できない)。

投資へのインセンティブ設計

最後にNEUトークン/equity token(セキュリティトークンの株式版)を受け取ることができる条件について確認します。

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https://neufund.org/cms_resources/whitepaper.pdfより引用

トークンを受け取る条件は以下の三通りです。

  1. 資金を会社に投資する手数料→NeuトークンがNeuトークンホルダーへ

  2. ETOをする手数料→equity tokenがNeuトークンホルダーへ

  3. 投資家が資金をプラットフォームのアカウントに入れる報酬→Neuトークンが投資家へ

企業の資金調達や投資家のプラットフォームへの資金導入が増やすといった、プラットフォームを活発化する行動が発生するとトークンホルダーが得をする仕組みになっています。

NeuFundの規制対応

NeuFundはETO(STO)の際に、どのようにトークンに法令遵守事項を取り入れるのか明らかにしていません。また、企業側のETOの手続き、簡略さについての詳細も見つかりませんでした。これらの、株式をトークン化するメリットを具体的にどのように実装していくかについては、今後公表されると考えられます。

法令遵守の動向についてNeuFundのホワイトペーパーに記載された情報をまとめました。

重要だと思われる規制対応は以下の通りとなっています。

  • 投資家がプラットフォームに資金を投入する際には、規制に従う必要があります。規制関連は、法的拘束力を持った法律文書によって管理・運営されており、文書はNeuFundによって発行されています。

  • 法律や規制は国によって異なり、サポート対象外の国では、投資家は資金投入を行うことはできません。

  • NeuFundは、最初にドイツの法律に準拠した運営を行い、順次対応国を拡大していく予定です。

  • サポート対象外の国はICBMのイベントに参加できません。

  • equity tokenはドイツの法律では証券とみなされています。よって、KYCとAMLは十分に監視されていません。

  • まずはヨーロッパの法律に対応しようとしていきます。

しかし、これらの規制対応は、セキュリティトークンプラットフォームの中ではごく一般的であり、最低限の要素と言えます。NeuFundで注目するべき点は、ユーティリティトークンを用いたプラットフォーム運営の仕組み、セキュリティトークンに対する取り組みがヨーロッパ初であるということでしょう。

Token DPA

Token DPAについては詳細は明らかにされていないものの、「債権」をトークン化したセキュリティトークンを発行するという点で他のプラットフォームとは異なっています。

このプラットフォームについて重要な点については以下の通りとなっています。

  • 株式による資金調達は様々な規制の対象となり、よって出資できる投資家の数にも制限が出てしまう。

  • ICOを行うサービスに散見されるSAFTのような形でのトークン発行は投資家の保護がなされてない。

  • 償還期限や金利が定められた債券をトークン化して、ユーティリティトークンよりも安全に、誰でも投資ができる形で資金調達を支援することができます。

Token DPAについては以下のブログを参考にしてください。

developers.yenom.tech

まとめ

今回は、TrustToken、NeuFundという二つのセキュリティトークンプラットフォームを概観していきました。

投資機会平等を掲げているプラットフォームでは、どのように資産のトークン化や、トークンに対する投資を活発化させるか、というところに重点を置いています。その仕組みを確認できたかと思います。

次回は、トークン設計によって行われる規制対応について詳細に説明していきます。

参照

TrustToken HP

TrustToken (TRU) - Picolo Research

NeuFund white paper