主要なセキュリティトークンのトークン設計をすべて解説していく③〜DS protocol、R Token 、ST20、Seccurency〜

こんにちは、インターン期間の終了が迫っている中、この記事を執筆しています。あさの @nononoasaです。今回は前回に引き続き、主要なセキュリティトークンの重要だと思われる点を解説していきます。

取り上げるのは、規制対応の機能をトークンに追加できる4つのプラットフォームです。各プラットフォームの基本的な方針は以下の様になっています。

  • 発行体 Securitize: トークン DS protocol

DS protocolを発行するプラットフォームです。このプロトコルを利用することで、規制に対応したアプリやトークンを作成できます。

  • Polymath: ST 20

規制対応できるトークンを発行しています。発行体と法務アドバイザリー/ディベロッパーをマッチングすることで、トークンに契約内容を実装するまで支援します。

  • Harbor: R Token

AML/KYCを実行できるトークンを発行しています。このトークンは、whitepaperの段階で規制対応の方法について詳細について詳しく言及しています。

  • Securrency: トークン名称なし

詳細はまだ確認できませんが、取引所、規制対応のプロトコルの提供、スマートコントラクトの開発サービスを行う予定です。

本シリーズ第一弾を読まれていない方は、トークン設計についてまとめた表と記事があるのでこちらをご覧ください。

developers.yenom.tech

トークン設計に関する表

docs.google.com

Securitize: DS protocol

プラットフォームの目的

プラットフォームの目的は、法令遵守しながらSTOを行ったり、流動性を提供したりすることです。そのために、セキュリティトークンに関わるすべての手続きをオンライン上で行えるようにしていきます。

有価証券に課される複雑な規制に、セキュリティトークンが対応できるようにプロトコルを開発していくという点で、法令遵守型のプラットフォームであるということができます。

トークンの要素

このトークンがどのような仕組みによって複雑な規制に対応できるようになっているかを要素ごとに解説していきます。

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DS Protocol white paperから引用

正直、この図を一目見ただけではどのようにSecuritizeのプラットフォームが機能していくか分かりづらいと思われます。

まずは、DS TokenとDS protocolの関係性についてです。DS protocol(DS services)は法令遵守の機能をDS tokenに追加します。どの機能を追加しているかについては、以下の図のDS servicesを参考にしてください。

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DS TokenとDS Appsの解説

事例①~トークン発行~

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DS Protocol white paperから引用

1と2 まず発行体(Issuer)がsecuritizeの発行プラットフォームやDS Appsで資金調達の実施を決定し、投資家は、KYC/AML/適格投資家の情報を入力します。

3 入力が完了すると、プロトコルを利用して発行体が投資家情報を記録していきます。

4 資金調達が完了すると、発行体はDS Tokenに関わる契約を締結し、投資家にトークンを分配します。

事例②~配当発行~

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DS Protocol white paperから引用

1 ブロックチェーン上、または特定のプラットフォームを利用して配当の配布を決定する

2 プラットフォームからDS Appに対してイーサリアムを発行するメソッド(send(ETH))を呼び出す。

3 DS AppがDS Token にアクセスして、誰に送ることができるかを確かめる

4 プロトコルの指示を受けているDS Appからイーサリアムが送る

5と6 Comms Servicesから通知が行くを引き出す

7 投資家がイーサリアムを引き出す

Securitizeを理解する上で重要なポイントは、2, 3, 4, 5のプロセスです。この過程では、配当を実施するDS Appが、DS TokenやDS Protocolの指示を受けています。

DS protocolを利用して、適切な相手に配当を発行したり(DS Protocol内のregistry service等を利用)、イーサリアムの発行を実際に行うときに、法律に従い税金を課したりできるようになります(DS Protocol内のCompliance serviceを利用)。

事例③~他プロトコルへの対応~

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DS Protocol white paperから引用

他のプロトコル(PolymathやR-token)と互換性のあるプロトコルを提供している理由は2点あります。

  1. 規制が確定した時にプロトコルを変更可能。現状では、セキュリティトークンのプロトコルに対する規制が確定していません。しかし、トークンはすでに発行されており、今後、新たな規制の対象となったトークンも一定期間、市場に残ると考えられます。このような本来規制されるべきプロトコルに対して、DS protocolを新たに適用して、規制の変化に対して柔軟に対応することができます。

  2. 他のプラットフォームでは、ネットワークの参加には、POLYやNEUなどのユーティリティトークンが必要ですが、Securitizeは使用していないため、他のプラットフォームに対応できたことです。

新しくセキュリティトークンのプラットフォームが規制対応を行う際や、規制対象となったプロトコルが機能を変更するときに、この機能は活かされます。

Polymath: ST20

次にST20(Polymath)について解説していきます。

Polymathは一つのプラットフォームで、法令遵守と投資機会平等のどちらも実現しようとしています。

これは、POLYトークンと呼ばれるユーティリティトークンを用いて投資や資金調達のインセンティブ設計を行なっていること法律家と発行体をマッチングすることで法令遵守機能をトークンに取り入れる手続きを簡単にしようとしていることに現れています。

特長

Polymathの特長のひとつに、スマートコントラクトを法律に準拠させるための方法についても詳細に解説していることが挙げられます。

資金調達を行う発行体は、法律上の手続きについて把握していないことが多いです。しかし、Polymathではプラットフォーム上に存在している法律家やディベロッパーがこれを実行していきます。

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Polymathのホワイトペーパー上に2点、トークン要素の概要が記載されています。

  • Polymath Chaincode

Polymathプラットフォームのコアは、一連のスマートコントラクトです。これらは、参加者同士の連携を調整していくのに役立ち、Polymathの機能はEthereum上で展開され、他のプラットフォームとも連携することができます。

  • Polymath.js

Polymath.jsはJavascriptのライブラリーであり、Polymath Chaincodeに書類を暗号化して載せたり、法律関係の証明に利用された契約や文書を暗号化する機能を提供しています。

プラットフォームのインセンティブ設計

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https://coinsavage.com/content/2018/05/what-is-polymath-beginners-guide/より引用

この画像では、プラットフォームに関わるプレイヤーがどの役割を担うか、そしてその支払い手段として何を使用するかが書かれています。プラットフォームの各段階でPOLYでの支払いが不可欠となっており、また、Polymathはエコシステムの一部分の役割を担うに過ぎません。このように、Polymathは各プレイヤーのインセンティブ設計を重視しています。

Harbor: R Token

R Tokenは、他の規制への対応方法を具体的に解説しているトークンとなっており、規制対応の完成度が高いトークンになると考えられます。

こちらの詳細は、過去記事について触れているのでこちらで確認ください。

developers.yenom.tech

Securrency: トークン名称なし

最後にSecurrencyを紹介していきます。

Securrencyの発行するトークン規格等はまだ発表されていませんが、プラットフォームは、有価証券を形式にかかわらず発行や取引できるようにしていくことを目指しています。そのために、トークンにコンプライアンス機能を追加できるフィンテック製品を開発していく予定です。

主要3機能

Securrencyが提供するトークン関連技術は以下の3つが確認できました。

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特徴

Securrencyで注目するべき点は、DS protocolと同様に、トークンと規制対応サービスを分離することで、規制の変化があった際に、他のプラットフォームのトークンにも規制サービスを提供できる点です。

また、Securrencyの懸念点は、スマートコントラクトの開発支援をどのように行うのか、そして取引所を「誰が」行うのかを明らかにしていない点です。

サービスを提供する主体が明示されていないのは、「トークン発行のプラットフォームとしてのSecurrency」を考える上で注目するべき視点であると考えられます。

まとめ

今回は法令遵守機能をトークンに付与するサービスを担っているプラットフォームを紹介しました。Polymathなどではすでにトークンの発行が行われており、プラットフォームのインセンティブ設計や、トークンの規制にどのように対応していくかに注目したいですね。

本日でセキュリティトークンシリーズは終了です。yenom tech blogであげたセキュリティトークンタグの記事を読むことで、セキュリティトークンについて一通り理解できるよう心がけました。まとめ記事もアップロードする予定ですので、過去記事を読まれていない方は、ぜひご一読ください!

参照

DS Protocol - Securitize’s Digital Ownership Architecture for Complete Lifecycle Management of Digital Securities

Polymath ホワイトペーパー

Securrency HP